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研究テーマ

 

1) 高温高効率ガスタービンエンジン用耐熱セラミックコーティング

  • カスタービンでの使用されている耐熱合金は、耐熱合金の耐熱性の限界で1100℃以上の使用は、不可能なっている。そして、カスタービンの飛躍的な熱効率向上を達成するために、その作動温度を高めると同時に冷却空気量の低減を可能とする熱遮蔽コーティング(TBCs: Thermal Barrier Coatings)が注目されている。本研究では、EB-PVD及びプラズマ溶射による熱遮蔽コーティングを開発している。

EB-PVDによるZrO2コーティング
プラズマ溶射によるZrO2コーティング

2) レアアースシリケートを利用した耐環境コーティング

  • ガスタービン用耐熱部材としてSiCセラミックスおよびSiC/SiC複合材料を適用する場合、燃焼環境下における腐食に対する脆弱性、およびシリカ(SiO2)の揮発による性能低下等が問題となる。この課題を解決するため、耐環境コーティング(EBCs:Environmental Barrier Coatings)により、SiCおよび SiC/SiC複合材料を保護する必要がある。特に、耐熱性や耐酸化性の高いレアアースシリケート(RE-Silicate)がEBCsの理想的な候補材料として注目を集めている。本研究では、火山灰やカルシウム-マグネシウム-アルミノシリケート(CMAS: CaO-MgO-Al2O3-SiO2)によるレアアースシリケートの高温腐食挙動と、ナノインデンテーション法を用いた機械的特性の評価に取り組んでいる。

CaO-SiO2-GdO1.5系状態図
Gd2SiO5とCMASの反応層
CMASによるGd2SiO5
腐食メカニズム

3) 放電プラズマ焼結(SPS)で製作された機能性透明セラミックス

  • Y2O3 及びLn3Al5012 (Lanthanide Aluminate Garnet (LnAG))のような透光性を示すセラミックスはレーザー及びシンチレーターへの応用に有望な候補材料である。透光性セラミックスのレーザー発振を容易にするためには、単結晶と同等の光透過率を有する必要があるが、わずか0.1%の細孔が残存しても光透過率が減少し、レーザー発振が困難となる。機能性を有する透光性セラミックスを製作する手法として、電場と圧力を同時に印加することにより焼結性を飛躍的に向上した放電プラズマ焼結法が有望である。本研究の目的は、レーザーおよびシンチレーターとして応用できる透光性に優れる機能性セラミックスを開発することである。

SPS装置の概略図
透明Y2O3の外観
透明Y2O3の透過率

4) InとGaを共ドープした酸化亜鉛(ZnO)の熱電特性の評価

  • 化石燃料の枯渇により、代替エネルギー源の開発が不可欠である。再生可能な未使用エネルギー源からの発電の潜在的な候補として、熱電エネルギー変換が大きな注目を集めている。高い無次元性能指数(ZT)の固体デバイス(熱電材料)を用いて材料両端の温度差を大きくすることにより、高効率の熱電変換を実現することができる。熱電材料の変換効率は、ZT = S2σTκ−1S:ゼーベック係数、σ:電気導電率、T:絶対温度、κ:熱伝導率)で表される。ZnOは熱的安定性が高く、高温でZT=0.6(1247 K)を示すため有望なn型熱電材料として注目を集めてきた。本研究では、InとGaをコドープした試料を合成することにより、ドーピング効果による熱電特性の改善に取り組んでいる。

ZnOの結晶構造
共ドープしたZnOのX線回
共ドープしたZnOのZT

5) カーボンナノチューブ及びGraphene強化複合材料の創製

  • 本研究では、引張強度、導電性、熱伝導性、ヤング率、軽量の優れた特性を持つカーボンナノチューブ(CNTs)やグラフェン(Graphene)を用いた高特性・新機能付与複合材料の創製を推進している。特に、優れた耐磨耗性を有する新規複合材料を開発するため、下図に示すようにアルミナをCNTsで強化した複合材料、あるいは生体材料のHydroxyapaiteにCNTs 及びGrapheneを複合することにより、優れた耐磨耗性を持つ複合材料を開発中である。特に、部分安定化ジルコニアの破壊靭性と高靭化に及ぼすCNTs添加の影響に注目した研究を進めている。

Al2O3/2vol%CNT 複合材料
CNTで亀裂のディフレクション
HAp /Graphene複合材料

6) 構造用セラミックおよび複合材料の開発

  • 酸化ランタニド(例、La2O3、Gd2O3)とZrO2の反応により、パイロクロアまたはフローライト構造のジルコニア(例、La2Zr2O7、Gd2Zr2O7)が生成される。 これらのジルコネート材料は、熱伝導率が低く、1200°Cを超える温度で良好な特性を示す。本研究では、放電プラズマ焼結によって製造されたZrO2-4mol%Y2O3セラミックの熱伝導率に及ぼすLa2O3とGd2O3の添加効果を明らかにすることを目的としている。

    また併行して、フローライト-パイロクロア複合構造を持つLa2(ZrxCe1-x)2O7系の熱特性も評価中である。 放電加工用セラミックスの開発を支援するために、SiCの熱的、電気的性質に及ぼすY2O3添加効果に関する研究も行っている。

結晶構造
ZrO2/5 mol% Gd2O3のTEM分析
La2(Zr,Ce)2O7のTEM分析